
[啓発テーマ]

40代から知識を持って定年前から備える職域でのフレイル予防
加齢とともに次第に心身の働きは弱まります。かつては「老化」という言葉でまとめられていましたが、現在はフレイル(健康と要介護の間の状態)として、主に次の3つに分けられています。①身体的フレイル、②こころのフレイル、③社会性のフレイル。高齢者に限られた話ではなく、暮らし方や栄養の摂り方などによって40代で身体的フレイル状態となっている人もあるのです。フレイルの知識を正しくもって、生活習慣をチェンジすることで、フレイルから健康な状態へ戻すことができるとされています。科学的なフレイルチェックが必要です。フレイル状態を放置してしまうと3つのフレイルが複合的に重なり合って(フレイルドミノ)、将来の要介護に向けて虚弱化が加速してしまう結果を招いてしまいます。

フレイル予防とも直結したお口の健康維持
フレイル予防のためには、運動、社会参加、栄養が大切です。何でも食べられる健全な口の機能が不可欠です。しかし、残念なことに、わが国のシニア期以降の方の口腔の健康状態は、理想的だとはいえない状況にあります。「口は健康の玄関口」であり、一方では、健康状態の悪化を招いてしまう病気の入り口でもある重要な器官です。肺炎や糖尿病、感染性心内膜炎、虚血性心疾患をはじめ、さまざまな全身の病気との関係も深いことがわかってきています。健全で清潔な口と機能を維持することは、健康寿命の延伸、介護予防にも直結している「努力が報われる」重要な条件なのです。

認知症の予防も社会参加の継続から
人や社会とのつながり(社会参加)が認知症予防に関連があるという研究が多く報告されています。逆に、糖尿病など生活習慣病があること、運動習慣がないこと、常習的な喫煙、過度の飲酒、栄養バランスの悪い偏った食生活などが認知症発症リスクを高めることがわかっています。MCI(軽度認知障害)の方の中でも、そのようなリスク因子の多い人ほど、予備軍から認知症になる人が多いのです。近年、早期の受診により進行を遅らせる道も開けました。治療を受けながら本人が希望する生きがいや仕事を継続して、良い結果に結びついている人も増えています。

シニア期以降に特に増える病気の早期発見に向けて
国、自治体、保険者、企業、個人への重い負担となる50代以降の医療費は年齢とともに加速度的に増加しています。私たちの健康学習テーマは、糖尿病、がん、喫煙と肺がん、肺炎、脳卒中、高血圧症、眼の病気、膝や腰など運動器官の問題に加えて、疲労と睡眠、シニアの健康を守るワクチン、住まいの環境と健康(生活環境病)など、必要なテーマを順次広げていきます。経営者の方はもとより、従業員の皆様とそのご家族にぜひ視聴をおすすめください。シニア期以降は複合的な病気をもつケースがあり、その相談と継続的な治療環境維持のために、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局を持つことが大切です。
